ちょっとマニアックな奈良の旅 -3- 消えた能舞台と蛍

今日は能にまつわる旅、第三弾。「奈良県宇陀市榛原(はいばら)」をご紹介しましょう。

【丹生(にう)神社】

この神社を知るきっかけは、白洲正子著「お能の見方」でした。

「舞台の一番最初の形は、土を盛り上げただけのもので、「芝能」とも呼んだ初期の舞台は、神様に奉納するものであったため、神殿に向かって建っていた。」(7P)

とあり、写真まで載っています。

現在、みなさんがよくご存知の「能舞台」の形態(舞台、鏡板、橋掛かり、一の松、二の松、三の松など)が出来たのは、

明治時代になってからです。

私はぜひとも、神に捧げし初期の頃の舞台というのを観てみたいと思いました。

さっそくネットで資料を探したのですが能舞台の記述はなく、市の観光課に電話しても「能舞台?そんなもの、あったかいな…前はあったんかも知らんけど…今はもうないでぇ、たぶん…」と曖昧な回答。

とにかく行って見るしかない!と、知人に頼んで、車で出かけました。

地図を頼りに田んぼの中の一本坂道。

畑仕事中の方を見つけて聞いてみるのですが、丹生神社の場所は分かっても、能舞台の話となると「知らんで…」と…。

神社は高台にあって、そこからの眺めは素晴らしいものでした。

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さっそく急な階段を上がってみるものの。
やはり本で見たような能舞台はありませんでした。

「丹生都比売神社」のことかとも思うのですが、こちらは和歌山県伊都郡かつらぎ町にあります。

なんだか、キツネにつままれたような気分です。

「丹生神社」の場所は、近鉄大阪線榛原駅 奈良バス莵田野行きで松井橋下車東1km 北へ1.5キロ、入谷集落の坂道を登り突き当たりです。

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観光課に電話したとき、「それ、阿紀(あき)神社のことやないですか?あそこやったら、能舞台あるけど…」と教えてくださったので、寄ってみることにしました。

【阿紀(あき)神社】

近鉄大阪線榛原駅から奈良交通バス「大宇陀」行きで20分、終点下車、徒歩15分。

天照大神を祀った元伊勢神宮の神社です。

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神社にご興味のある方には、万葉集や日本書紀、はたまたさまざまな文献や謂れから、格別な考察があるのでしょうが。

私は風雨にさらされて、かなり老体に鞭打ちながらも、いまだに「能舞台」として現役で活躍している、古い能舞台に出会うことができて、感動を覚えました。

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1615~1623(元和年間)年に織田藩が治め、三代目当主の織田長頼の頃に能楽が奉納されたことが起源だそうで、大正時代まで能楽興行が行われてきたようです。平成4年に大宇陀町が薪能を再開したそうです。

良くこの能舞台を保存してこられたなぁと、この土地の人々の想いには頭が下がります。
現在は6月中旬に

「あきの蛍能」

が開催されます(平成7年より)。

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この薪能では、クライマックスになると薪の灯りを落として、舞台袖で

数百匹の「蛍」を放つのです!

漆黒の空に舞う蛍と、能とのコラボレーション。

幽玄美の極致です!

私はその美しい様を想像するだけで、卒倒しそうでした。

その蛍は、神社の前に位置する「万葉公園(かぎろひの丘)」の麓を流れる水路(蛍水路と呼ばれています)に放たれて、育てられているのです。

雨天の場合は大宇陀の文化会館で開催となります。

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