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<<   作成日時 : 2009/12/12 16:00   >>

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能というのは、あらゆる説明的なものを省き、すべての修飾を削ぎ落とした末に辿り着く、本質的なものを表現する。
そこに一切、説明的で余計なものは不要。
観客はシンプルな所作の中で、さまざまに想像力を働かせて能を観る。
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金春康之先生から「お能」についてお話いただきましたが。

はい、そうですか、と。

東京からわざわざ5時間も掛けて訪ねてきて…

そのまま引き下がるわけにはいきません。

総合演出/映像・空間構成の金大偉さん。

やおらMacを取り出して、これまでさまざまなホールや舞台、野村ビルなどの屋外で、多くのアーティストや演者、パフォーマー、演出家たちとコラボレーションしてきた映像を、お見せしました。

「いやあ、これはちょっと派手ですなぁ…。これくらいなら、よろしいなぁ…」

康之先生がおっとりした口調で一つ一つに感想を付けられるので、みんなモニターを見るお二人の後ろにどどっと移動。

百聞は一見にしかず。

口で説明するより、実際にお見せした方が早いのです。

しかしながらそれは出される結果が早いだけで、却下されるのもまた最速。

リアルな画像は説明的だの、抽象的かつ幻想的に、だの。
色はブルーだの、深い緑が良い、だの。
動いてはいけないだの、気が付かないほど僅かに変化させる、だの。
霧を表現するのにスモークはどうだの、いかがなものか、だの。
ああでもない、こうでもない…

そのうちに。

お二人とも、何だかとても楽しそう。

実際の心情は計り知ることができませんが。

まるで新築リビングの壁紙を選んでいる新婚さんみたい。

…に、見えました。
男同士ですが。

最後に康之先生は、かつて大阪万博で見た円形の能舞台がすこぶる美しかった。
あのように出来ないものかとご注文を出されました。

説明によると、まるで「闇に浮かぶ蓮の華」のような舞台だったらしいのです。
現世と隔絶された、この世のものとは思えない美しい情景が頭に浮かびました。

なぁんだ。
美しければ、能舞台の様式から逸脱しても良いのですね。

ちなみに今の能楽堂に見られる、舞台の一般的な様式が定着したのは、明治時代からだと言われています。
京間三間(約6メートル)四方、舞台の四隅に柱を立て、背景に影向(ようごう)の松をかたどった鏡板(かがみいた)、上手に切戸口(きりとぐち)、下手に橋掛かり、出入りに揚幕、橋懸りには舞台のほうから順に「一ノ松」「二ノ松」「三ノ松」。

今回はその鏡板の代わりに、ホリゾントに投影された画像なり映像なりを使おうというわけです。

以前私が「舞台背景に映像を使おうと思うのですが」とご提案しますと、鏡板の「影向(ようごう)の松」は決して舞台美術ではなく、神事における…と、康之先生からお説教されました。

ことほど左様に。
能というものは、観客のための演劇でも歌舞音曲でも、ショーでもエンターテイメントでもなく、

本来は神様に捧げる神事の一つだったわけです。

私はそういう考え方にはたいへん共感しますので、金さんと金春流の間で、傍観していました。

とにかく。
二時間にわたる打合せ。
イメージの刷り合せは上手く行ったのでしょうか?

その結果は、ぜひ、来年10月30日、奈良県文化会館国際ホールにて。

あなた自身が、その目でお確かめください。

百聞は一見にしかず。

<JR東海 いま、ふたたびの奈良へ。2007年 春 興福寺編 Part 1>
阿修羅像、興福寺薪御能の映像あります



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